人の移動によってウィルスが媒介される厄介な新型コロナ。
この状況において東京オリンピックを開催する事は不可能。
早い時期に延期を表明すべきであった。
にも拘わらず、所謂保守勢力と称される人々の一部は開催を唱えている。
一部識者が開催のための署名活動を展開しているという。
開催すべき理由としては、日本側から中止・延期を申し出れば莫大な違約金を支払わされるからというもの。
一方でIOCの側からの中止・延期の申し出であれば逆に日本側が賠償金を請求できるとか。
当初の契約ではそのようになっているかもしないが、このコロナ禍が終息しない状況を客観視すれば開催が困難なことは自明の理。
観客を制限したり入れなかったり、来日する選手・スタッフの行動を規制するなどした限定的な形で開催してもスポーツの祭典・平和の祭典と言われる従来のオリンピックの形は整わない。
所謂保守の人々が開催賛成を訴えているのは単に「左翼が反対しているから賛成しなければ」、という従来の対処療法的側面があるのではないか。
弁護士の宇都宮健児氏が反対の旗を振る以上は保守陣営が対抗するしかないといった、偏狭な愛国心に先導されているのではないか。
ちょうど左翼が原発反対を言うから所謂保守が原発賛成を唱えるのと酷似している。
開催によって国威発揚を図ることがナショナリズムの勃興に繋がるとみているのか。
また、米国のトランプ前大統領がコロナを軽視してマスクの着用を怠っていたこと。
ブラジルのトランプと称されたボルソナル大統領が「コロナは単なる風邪」と発言した事も想起できるが、コロナ禍に対し慎重な姿勢を示すことが弱腰である、ナショナリズムに反するとイメージしてはいないか。
左翼勢力は2013年の開催決定以前から日本でオリンピックを要らない、と訴えてきた。
今般たまたまコロナ禍にあるが、中止は従来から積み上げてきた反対運動の延長線上にある。
一方で我々は当初より日本への誘致には積極的に応援してきた。
各国で開催されるたびに参加してメダルを頂いているのであるから、50年に一度くらいは自国で開催する責任はあるだろう。
各家庭で持ち回りのホームパーティーを開催していれば、よほどの貧乏所帯でないなら、たまには自分の家でも開催しなければ、程度のことである。
しかし予期しなかったコロナ禍により世界が危機的状況にあれば延期は当然の選択である。
今般の延期要請は左翼的開催反対とは全く異質なものである。
海外からは観客を入れず、限定的に選手だけで開催しても従来の平和・スポーツの祭典と言ったオリンピックの意義を全うしない訳で開催になんの意味があろう。
そのような形でも一旦開催してしまえばあと、数十年は日本で開催されることはない。
ここは一旦延期して2024年のパリ、2028年のロサンゼルスに続き2032年に何の憂いも無く全世界の人々の祝福を受けて華々しく開催すればよい。
2013年の東京開催決定以降、開催を見据えて日本中がワクワク感のなかで準備してきた。
そういった高揚感を今後11年間持つことができると考えれば得策ではないか。
祭りは開催そのものよりも、「祭りの準備」が人々に勢いを持たせる。
一方で「祭りの後」の虚無感も人生のひとつであろうか。
東京開催を見据え人々の暮らしも経済面で潤いをもたらしてきた。
海外からの観光客インバウンドを見据えて民泊・シェアハウスを計画してきた人々。
観光地での土産物屋やタクシーなどの交通機関でも集客を期待していたはず。
オリンピック開催に乗じて小商人が一時的な収益を見込んで懐を潤す位は許容される世の中であっても良かろう。
彼らの得た収益が散財されることで日本経済が多少なりとも好況に浴することになる。
そういった人々の暮らしに対するプラス面を考慮せずに兎に角、「開催」すれば良いというものでもあるまい。
竹田恒泰氏 五輪中止署名の宇都宮氏は「筋違い」「寄付金集まる」
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竹田恒泰氏
声を上げた理由とは――。弁護士の宇都宮健児氏(74)が行う「五輪中止署名活動」が大きな注目を集める中、政治評論家の竹田恒泰氏(45)が8日から「五輪開催署名活動」をスタートさせた。深刻化する新型コロナウイルス禍により、現状では東京五輪の開催中止を求める世論が高まっているが、なぜこのタイミングで動いたのか。電話取材に応じた竹田氏は、宇都宮氏の発言を疑問視。その上で、政治的な思惑が垣間見えると指摘した。 【写真】五輪中止でタッグを組む?小池都知事と蓮舫氏 ――署名活動を始めたきっかけは 竹田氏(以下竹田) 宇都宮氏の署名活動を見たときに、大変筋違いだと思った。政府にも東京都にも日本オリンピック委員会(JOC)にも中止する権限はない。権限がないところに「中止しろ」って言っても何も意味がない。たぶん宇都宮氏に署名している人はこのことを知らない。弁護士として一般人をだますようなやり方はひどい。 ――署名の宛先には国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(67)以外に、菅義偉首相(72)、小池百合子東京都知事(68)らの名前がある 竹田 中止の権限はIOCにあるが、署名している約30万人のうち、ほとんどが政府や東京都に中止する権限がないと知らずに投票していると思う。しかも、デモに参加している人がいる。ネットを見ているとそんな感じ。デモで政府に中止を求める圧力をかけている。一般人をだまして盛り上げている。日本側に中止権限がないって分かっていたらこんなに盛り上がっていない。多くの人が「菅首相は何をやっているんだ」「小池都知事はいつ決断するんだ」という気持ちで参加しており、間違えた方向に世論を誘導している。 ――署名の開始時期は異なるが、宇都宮氏より集まった票数は少ない(12日時点で宇都宮氏が約33万3000筆、竹田氏は約5万5000筆) 竹田 宇都宮氏は組織的にやっている。毎回共産党に担がれて、東京都知事選に出ている人だから。共産党は幹部がこぞって「五輪をやめろ」って言っているし、共産党の人たちが組織的に活動している。それに対して私は1人でツイッターや自分の番組で言っているだけだから。中止って言うのは盛り上がりやすい。現状維持が賛成なので、その人たちはわざわざ活動や署名活動はあまりしない。だから数で争おうとしたら大変不利な状況だが、こちらの目的としては賛成の数が一定数いるんだぞと伝えること。 ――宇都宮氏には「政治的思惑があるのでは」との声も聞かれる 竹田 今回の活動で宇都宮氏に寄付金は集まるし、次の選挙で有利になる。非常に政治的な思惑、利権が絡まっている。正しいことを言うならまだしも、間違えたことを吹聴しているから、非常に害が大きいと思う。 ――宇都宮氏は政府側から中止を求めた場合、賠償金は不要と話す 竹田 法的には払う必要が生じる。多くの識者も一致した意見だと思う。政府は中止の権限がないのに「やめます」と言うと、一方的にボイコットしたことになって、IOC側は「だったら放映権料等を負担してくれるんですね」となる。コロナの拡大が戦争相当だという理屈を絡めれば、払わなくてもいいという理屈を立てられなくもないが、日本は諸外国に比べて死者が少ないのに、この主張が通るのでしょうか。 ――宇都宮氏は都合の悪いことを隠しているということか 竹田 宇都宮氏は開催したら約3000億円お金がかかると言っているが、中止になったらスポンサーへの損害賠償だけで約3500億円かかる。宇都宮氏は開催したときにかかる費用は言うけども、中止したときにかかる費用は言わない。また、署名を見ると「五輪を開催したら医療崩壊が起きて国民がみんな死ぬ」と言っている。どう思うかは自由だが、真に受けた人たち、うそを信じてしまった人たちがたくさんいる。ネット上でも信じた人たちが「大変だ」って言っているが、科学的根拠はない。宇都宮氏はそこに触れていない。 ――男子テニスの錦織圭(31=日清食品)は五輪への不安を口にした 竹田 通常の形ではできないから、できる範囲でやればいい。日本はとことん準備してIOCが「やめます」と言ったら中止にしたらいいだけ。すでに費やした約1兆円はほとんど払い終わっていて、開催してもしなくてもこのお金は戻ってこない。 【宇都宮氏「国民の命や健康を守るためのコロナ対策に全力を注ぐべき」】宇都宮氏は取材に「世論調査でも7割が再延期か中止を求めている。それを形にする一つの運動として署名活動があるのかなと思い、立ち上げた」と一連の経緯を明かし「全国的に医療がひっ迫して感染者を救うのが大変なときに五輪開催となると、五輪のために1万人くらいのスタッフが必要。国民の命や健康を守るためのコロナ対策に全力を注ぐべき」と訴えた。また、賠償金については「日本側から中止を言っても違約金は発生しない。そういう契約になっている」と説明した。