二・二六事件墓前祭を実施

青年将校等による蹶起から81年目となる。

12時に賢崇寺で実施する墓前祭に先駆けて、10時30分から渋谷の慰霊塔前で行われる「二・二六事件殉国烈士慰霊の会」(鈴木康隆世話人代表)に慰霊祭に出席させて頂く。

来賓として参加された野村健様が林八郎少尉についてお話しされた。

最年少で処刑された林少尉は決して唆されて参加したものではなかった事。

息子が処刑された母親は憔悴して池袋に暮していたことなどを話してくださった。

続いて蹶起将校の遺族として小生も一言ご挨拶申し上げた。

小生の母親が林八郎の従姉妹であった。母親(小生の祖母)が義姉である林の叔母さんに付き添って、この刑場まで遺体の引き取り行くのを見送っていたというのであるから、まさに近代史の一面をみるような思いだ。

憲兵隊調書を読むと、「貴様はこのような事をして陛下の宸襟を煩わしめたとほ思わぬか」、との問いに対し

林少尉は毅然として「思いません」と答えている。

「陛下の宸襟を悩ましめる重臣どもを成敗したのですから陛下はお喜びになっているに違いありません」、と言うのだ。

まさに確信をもって蹶起に参画したことが分かる。

 

終了後、電車で麻布にある賢崇寺に向かい墓前祭を行う。

決意文を朗読する

 決意文

 

    本日二月二十六日は二・二六事件の蹶起から八十一年となる。

 顧みるに昭和初期の日本では、昭和大恐慌の余波により、巷では

失業者が溢れ返り、日本経済は行きつまり、閉塞感が蔓延していた。

加えて、冷害による不作から東北地方の農家では収入の途を立たれ

娘を身売りせねば一家が飢え死にする程の苦境にあった、

にも拘らず、財閥・資本家が社稷を顧みることなく富の収奪に明

け暮れていた。

純粋に国家の存亡に危機感を抱いた青年将校等は民間人と共に

国家改造をめざし、蹶起したのである。

結果的には天皇の決断の下で、投降する事となり、目的とする

国家改造は失敗に終わった。二十二士が処刑等により命を落し、

ここ賢崇寺に眠る事となった。

天皇親政を謳っての蹶起でありながら、天皇の決断によって

悲惨な終末を迎えるとは、これ以上のパラドックスがあろうか。

北一輝研究の第一人者であった松本健一氏は「天皇は部隊を討伐

すると言う決断を下すことができたのであれば、それ以前に国民

を救済するという決断がなぜできなかったのか」、と問うていた。

蹶起将校等が望んだ国家改造とは如何なるものであったのか。

その全貌は見えてこない。具体的なる新政府や政策などについ

ては、無計画であったろうことは察しがつく。

ただ、目の前に横たわる悲惨な現状を打開するために権勢を

振るう為政者と財閥・資本家を打ち倒すことのみを優先した

場当たり的な蹶起という一面もあろう。

政権の奪取を成功するにおいては、その後の国家運営を如何

に遂行するか、といった緻密な計画と計算が必携となる。

 

形こそ違え、昨年アメリカではトランプ氏が選挙によって

政権を奪取した。

これは単に民主党から共和党に大統領が替わったと言う単純なる

図式ではない。

ウォール街という金融業界をバックに付けたクリントン氏に対し、

衰退した鉄鋼業界などの製造業をバックに付けたトランプ氏

という図式の中でトランプ氏が勝利したといえる。

しかし、トランプ氏は不動産王として名を成した人物であり、

土地を転がして利益を得るトランプ氏にとって、額に汗して

肉体を酷使してきた製造業労働者の実体験など理解できるはず

もない。

にも拘らず、製造業・労働者の味方であると言った図式を勝手

に打ち立てて、支持を広げていった。

トランプ氏の勝利はポピュリズムの勝利であると言われている。

誰にでも耳触りの良い甘言を以って人心を引き付けるのが

ポピュリズムと考えるならばトランプ氏に対する評価としては

妥当とは言い難い。

移民・難民阻止やイスラム教徒入国禁止などの政策を見ると、

これこそ場当たり的オポチュニズム(ご都合主義)の勝利とは

言えまいか。

株や投資・投機といったマネーゲーム中心の資本主義社会に

おける弊害や矛盾に焦点をあてて虐げられた層に希望を与える。

刺激を求める若年層に変化を提供することで、選挙に勝利したと

いえよう。

投票という民主主義の最たる手法で選出されても、これを不満

とする大勢の人々が連日、反トランプでデモが展開されている。

なら逆に、選挙とは無縁の手法で選出されたからと言って、

反民主的との理由を以って反対される言われも無くなるのである。

 

北朝鮮のように平気で他国にいる異母兄に対し殺害命令を下

して憚らない暴君が仕切る圧政を敷く国であるならば、銃弾を

撃ち込んででも政権の転覆を図る必要がでてくる。

この独裁者を抹殺することで飢えた国民が救われる、拉致された

日本人が還ってこられるとするならば躊躇なく武装蜂起の

チャンスを窺う事になろう。

選挙という民主主義の下に行われる独裁もあれば、テロという

殺戮の下で実行される人民救済もある。

今日は単なる慰霊の為に手を合わせる日ではない。

国家・国民を救済し、世界の平和と安定を希求するが故に、血を

流すことも躊躇することなく、政権奪取に向けて邁進する覚悟を

改めて確認すべき日なのである。

 

平成二十九年二月二十六日

 

二・二六事件墓前祭実行委員会 槇泰智

参加者一同

 

(原文は縦書き)

 

1時から本堂で行われた仏心会主催の法要に参列する。

法要終了後、香田清貞大尉遺族の香田仏心会代表(左)、

河野壽大尉親戚の山地悠一郎氏(中央)と共に記念撮影

 

法要の後に参加者と共に、毎年利用している小洒落た蕎麦屋でささやかなる直会を行う。

前菜5種

大海老のある天婦羅

 

 

 

 

 

 

 


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