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天皇皇后両陛下の体現くださった「マガンダン・ハポン」

 天皇皇后両陛下がフィリッピンご訪問から帰国された。
26日からフィリッピンを訪問され各地を回り慰霊された。
昨年の戦後70年にはパラオをご訪問され、今回のフィリッピンとご高齢にも拘らず、名代を出すこともなくご自身が先の大戦に向き合い慰霊に向かわれるお姿にはただただ頭が下がるばかりである
灼熱の地で降雨の中の慰霊式に臨まれるなど、疲労は如何ばかりであろう、ご健康を願わずにはいられない。
 
 激戦地であるフィリッピンにおいては52万人にの日本将兵が散華された訳であるが、同時に110万人にも上るフィリッピン人が命を落している。
自らが望んで起こした戦争ではない。
 日本が大東亜の解放を唱えて惹起した戦争に否応なく巻き込まれて命を失ったのだ。
 欧米列強からの独立とは日本が唱えた大東亜共栄圏の確立を目的とした政策であり、米国によって統治されていたフィリッピンを日本の手によって独立させてやったとの自負が付き纏う。
 その結果、のんびりと農耕によって暮していたフィリッピン人は、日本の戦争に協力させられることとなる。
 「物資は現地で調達せよ」、などというふざけた方針によって、供出という名のもとにフィリッピン人が蓄えた米や食料品は略奪紛いに放出されられたのだ。
 
 戦時中の軍政においてはジャワなどの南方諸地域と比べ日本軍の評判は極端に悪かった。
 結果、アメリカ軍に協力する抗日ゲリラが発生し、日本軍は見境なくフィリッピン人を殺戮したと言われている。
 欧米列強からの独立、というのは日本が掲げた理想であり、たとえ欧米列強の奴隷であっても「奴隷として生き延びる幸せ」、という選択もあったはずである。
 崇高な理想を掲げて日本軍が進駐してこなければ110万人のフィリッピン人は命を奪われることはなかった。
 
 日本のマスコミにおいては両陛下が日本人の犠牲者に対し慰霊を行った事や、在留邦人との触れ合いが大きく報道されているが、犠牲となったフィリッピン人に対する慰霊式に関する取り上げ方は薄い様にみえる。
 両陛下ご訪問の真なる目的・意図は迷惑をかけたフィリッピンの人々に対する慰霊にあったのではないか、とも思いたい。
 
 5〜6年前の靖国神社境内で毎日曜日に広報活動に従事していた当時、そこでは参拝に来る人を捉まえては、「戦前、アジアに独立国は二つしかなかった」「日本が世界の国々を独立させてあげたんだよ」、と日本の功績を滔滔と語る老人(元日本兵)がいた。
 それは独立を果たした国の人々が言うのなら分かるが、アジア諸国の人々に対し結果的に苦難を与えた立場の日本人が胸を張っていう事ではない。
 大東亜解放と言う理念は素晴らしいが、それを実行せしめるだけの力、すなわち戦略や軍事力・資源もないままに突っ走ってアジアの国々を戦場せしめたという事実から目をそらしてはいけない。
 
 30年前に読んだ「炎熱商人」(昭和和57年直木賞受賞)という本がある。
 深田祐介氏が現地で知り合った日比混血のチャーリー渡辺氏を題材にして軍政下のフィリッピンと、昭和40年代のフィリッピン貿易を並行して描いた小説だった。
 軍政下でフィリッピン人に対し、過酷な統治を迫る軍部の下で戦争を遂行する憲兵隊の馬場大尉。
現地人を見下した理不尽な命令に反発し、フィリッピン人の立場に理解を示し苦境に陥る。
 これに対し鴻田貿易マニラ支店長の小寺が重ね合わさり描かれている。
本社はフィリッピンを単なる輸入木材の供給地とみなし、安価に良質な木材を拠出するように迫る。
 戦中と戦後も日本とフィリッピンのはざ間で苦悩する日本人の姿が描かれている。
 
この小説のテーマは「日本人として如何に美しく生きるか」、という事ではないかと思っている。
 タガログ語で言えば「マガンダン(美しい)・ハポン(日本人)」という事になる。
 小説ではフランクとして描かれているチャーリー渡辺氏は戦時中は少年通訳として軍に動員され、戦後は日本商社のマニラ支店で現地社員として働いていた。
 その支店長が商売のもつれにより現地で殺害されるという実際に起こった事件を題材として、戦中と現在を彼の眼を通じて描いた作品なのだ。
 
『利』を捨てても『義』を貫く。
それこそが真の武人ではないか。
外国で暮す中、日本人の姿を現地の人々に示さねばならない時、如何に振舞うのか。
 現地の人々から見ても尊敬に値する日本人でなければならない。
その立ち居振る舞いが日本人の印象を左右する事になる。
「マガンダン・ハポン」
その姿を体現してくださったのが天皇皇后両陛下である。

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