6月12日にシンガポールで実施された米朝首脳会談はとんだ茶番劇であった。
当初から半ば予想していた通りであったが、今までお互いを「老いぼれ」とか、「病気の子犬」などあらゆる言辞を用いて罵倒しあっていた二人が、こうまでも手のひらを返したように瞬時にして仲良くなれるのか。やはり変節漢の真骨頂と言えるだろうか。
この空虚なる共同声明はトランプ大統領としては当初から折り込み済み。
朝鮮半島の非核化を目指すなど4項目の取り決めについては語尾において
約束する。努力する。約束する。約束する、とあるように具体的なプログラムは全く示されていない。
が、これでよいのだ。
トランプ大統領としては「史上初の米朝首脳会談を実現させて大統領」、との光栄なる経歴を得たことで満足できる内容だった。
安倍首相が頼んでおいた拉致問題の解決なんか本気で話し合う意思がないことは明白だ。
1年3ヶ月に渡り拘束され意識不明の状態で解放されて死亡した22歳のアメリカ人、オットー・ワームビア青年の問題についてさえなんら言及しない。どのような経緯でボツリヌス菌感染があったのか責任の所在は誰にあるのか、処罰したのかなど問いただすでき要素は多岐にわたるものであり、首脳会談でなくとも次官級協議でも俎上に上げられるべきではないのか。
であるから、トランプ大統領において日本人拉致に関し本気で解決する意思がある訳がない。
いままでのアメリカであれば戦場に取り残されたたった一人の米兵に対しても救出のために奇襲部隊を編成するなど全力で立ち向かった。
トランプ大統領は商売人であるから国の名誉とか人権・人道主義といったものにに興味を示さないのであろう。
早くも北朝鮮の海岸にリゾートホテルを建設する計画を持ち出したとか、金儲けのための和平交渉にすぎないのだから期待するほうがおかしいのである。
アメリカのトランプ大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長のシンガポールでのサミットにおける共同声明
トランプ大統領とキム委員長は、2018年6月12日に、シンガポールで、史上初めてとなる歴史的なサミットを開催した。トランプ大統領とキム委員長は、新たな米朝関係や、朝鮮半島における永続的で安定した平和の体制を構築するため、包括的で深く誠実に協議を行った。トランプ大統領は北朝鮮に体制の保証を提供する約束をし、キム委員長は朝鮮半島の完全な非核化について断固として揺るがない決意を確認した。
新たな米朝関係の構築が朝鮮半島のみならず、世界の平和と繁栄に貢献することを信じ、また、両国の信頼関係の構築によって、朝鮮半島の非核化を進めることができることを認識し、トランプ大統領とキム委員長は以下の通り、宣言する。
1・アメリカと北朝鮮は、平和と繁栄に向けた両国国民の願いに基づいて、新しい関係を樹立するために取り組んでいくことを約束する。
2・アメリカと北朝鮮は、朝鮮半島に、永続的で安定した平和の体制を構築するため、共に努力する。
3・2018年4月27日のパンムンジョム宣言を再確認し、北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に向けて取り組むことを約束する。
4・アメリカと北朝鮮は、朝鮮戦争中の捕虜や・行方不明の兵士の遺骨の回収に取り組むとともに、すでに身元が判明したものについては、返還することを約束する。
史上初となる、アメリカと北朝鮮の首脳会談が、この数十年にわたった緊張と敵対関係を乗り越え、新しい未来を切り開く大きな転換点であることを確認し、トランプ大統領とキム委員長は、この共同声明での内容を、完全かつ迅速に実行に移すことを約束する。
アメリカと北朝鮮は、首脳会談の成果を実行に移すため、可能な限りすみやかに、アメリカのポンペイオ国務長官と北朝鮮の高官による交渉を行うことを約束した。アメリカのトランプ大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長は、新たな米朝関係の発展と、朝鮮半島と世界の平和や繁栄、そして安全のために、協力していくことを約束する。